※私が主宰する「政経文化フォーラム」において、去る2025年5月27日(火)に行った講演の要約を掲載しています。
トランプ政権が発足して5ヶ月が経った。最近の報道等を見ていると「トランプ大統領は何を考えているかわからない」「トランプ政権は何をやり出すかわからない」という目で見られている方が多いのではないかと思う。報道機関でも批判的な見方をする人が多いが、私は決してそうは思わない。個人的にはあのようなタイプの政治家はあまり好きではないが、トランプ氏だからこそできることがあり、そのことに果敢に挑戦していることがよくわかる。
大統領に就任する前に二度暗殺未遂に遭ったが、あの時に「本来なら私はこの世にいない。命が助けられたことは天の意思だろう。私には役割が残されている」ということを言われた。非常に立派な受け止め方だと思う。日本の政治家にもそういう心境になってほしいという思いがする。
トランプ氏は大統領就任前から「自分の一番好きな言葉は『関税』だ」と言っていた。これは一体何を意味するのかということだが、最初にすべての貿易相手国に対する関税率のリストを示しながら、その後に各国とディール(取引)をするつもりでいるので、各国は競ってアメリカの当局者と交渉を始めている。
トランプ氏は何をやろうとしているのか、何を考えているのかは、世界の長い歴史を紐解いていかないと本当のことはわからないと思う。日本のメディアはよく「報道の自由」「表現の自由」と強調するが、私から見ると「報道しない自由」を謳歌しているのが、今の大手メディアではないかと思う。したがって、日本のテレビや新聞の報道だけをご覧になっていると、なかなか本当のことがわからない。今はネット社会なので、SNSで様々な情報が拡散される。その点では以前と時代がだいぶ変わってきたが、その一方で、何が本当の情報なのか、何がフェイクなのかを見極める目を持っていないと、その情報に振り回されるだけで、ますます混乱することになる。情報を整理する目を身につけようとするならば、世界の長い歴史をしっかりと勉強しなくてはいけないと思う。
特に最近の200年の歴史は極めて大事だと思っている。アメリカという国はもともと世界各地から移民が入ってきて、移民が作った国家であるが、その後、特定の人達やグループによって作られた国なのだということを多くの人がわかっていないと思う。世界の歴史を正しく理解しようと思ったら、ユダヤ問題は避けて通れない大きな課題である。(続く)